その他

大切に想っていれば いるほどに…

991文字 約2分で読了
作者:蓬田灯子
この一年の間に、何度、きみを思い返しただろう。 仕方がない…、と言っても、割りきれるものでもない。 大切に、大切にしてきたものだからこそ、失った時の壮絶な混乱は、心身の支障をきたす。 しぐさ、表情、声… 思い返す全てが、精神をえぐる刃物となって、呼吸が正常にできなくなり、涙が頬を、幾度も流れ落ちる。 考えてはいけない時に、出てきてしまった思い出を、頭をぶんぶんと振ることで、払い落とすようにしても、無意味だとわかってはいる。 しかし、何とかして、一旦それを制御しなくてはと必死になる。 だいすきで、いとおしくて、だいじな存在… スマホの写真を整理すると、たくさんきみの写真が出てくる。 しかし、未だに直視ができないほど、つらく、苦い気持ちになり、すぐにスマホの画面を消す。 呼吸が荒くなり、取り乱す。 「……いつになったら、こんな状態から抜け出せるのか……」 時間が解決してくれる よく聞く言葉だ。しかし、これは事によりけりだと、自分は思う。 時が経てば、解決することも本当にある。ただやはり、全てのことが、この言葉に当てはまるとは限らない。 亡くなったきみが、夢に出てきてくれた時があった。 その時のきみは、いつも通り元気で、自分に明るく話しかけてくる。だいすきなきみだった。 その夢は、救いだった。 あぁ……、かなしくないのかな…って。 助けられなかった自分を、うらんでいないのかなって……。 本当に…、本当に、ごめん。 助けてあげられなくて、ごめん。 何度考えただろう。 何か不思議な事が起きて、過去に戻れることができたら、自分は、真っ先に、きみのところに駆けつけるだろう、と。 しかし、何度考えても、そんな不思議な現象は起きない。 悔やんでも…、悔やんでも、時間はあの時に戻せない。 「……きみにいつも話していたように、どんなことも、前に進むしか……解決方法はないんだね、きっと」 たくさんきみに、未来の話をしていた。必ず実現したい夢や希望の話し。 きみは、微笑みながらいつも聞いてくれていた。 必ず、あなたなら、叶えられるよ つらさは変わらない。 苦い気持ちも変わらない。 後悔や、流す涙も、変わらない。 でも、きみがいつも、自分を真っ直ぐに信じていてくれた微笑みも、自分の中で、変わらない。 「……このまま、今の自分のまま、ゆっくり歩くよ 必ず、きみに話したことを、叶えるために……」 それが、今の自分の、生きる意味であり、原動力だ。 (終)
2026/09/23 ・ 👁️ 75回 ・ 💬 0件

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