SF・ファンタジー
かたつむり
332文字
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雨の中、赤信号がなかなか変わらない。
疲れた気分で足もとを見ると、小さな蝸牛が一匹いた。優雅に渦巻いた殻を背負い、ゆっくりとわたしの足のほうへと進んでくる。
その殻の色が、金銅仏のようなありがたい美しさ。おそらく中に幸運がしまわれていて、それをわたしの見知らぬ誰かのところへ、慎重に運んでいる最中なのだ。
わたしは少し意地悪をするつもりで傘をかたむけ、縁にたまった水滴を蝸牛の上に落とす。うまく当たらない。
そんな遊びをしているうちに、信号が青になった。じゃあね、ばいばい。
道路を渡り切ってから気づく。
もしかしてあの蝸牛は、わたしに幸運を運んできたのでは?
ふりむくと、さっきまでわたしが立っていたあたりを、黒い合羽を着た人が乗る自転車が、乱暴な速さで通っていった。
Fino
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