ホラー・怪談

ゴミ袋の色

727文字 約2分で読了
作者:ReiN.
 週に一回のゴミの日が来た。   「ゴミ出しに行くよ」 「うん、ちょっと待って。髪を結うから」 「待ってるね」  こんなに暑いのに、彼女は長い髪を結ばない。  首元には髪が張り付いている。 「お待たせ。じゃあ行こうか」 「うん」  彼女は透明な袋を持つ。    私は彼女の空いた手に指を絡ませて、ゴミ捨て場まで行く。  以前、当番制にした時に揉めてしまってからは、二人で行くようになった。  これで喧嘩の種を摘んだ。 「おはようございます」  ご近所さんがほほ笑んでいる。今日は息子さんの姿がない。  いつも不愛想だった息子さん。でも必ず一緒にゴミ捨てに来ていた。  持っている袋の色は赤。 「おはようございます。今日は赤なんですね」   「ええ、すっきりしました」  最近、ご近所さんは悩んでいると愚痴を言っていた。  悩みが解消したらしい。  その後、一言二言やり取りをして、私たちもゴミを出す。  子供の受験も、義母との確執も、すべて解決したらしい。    彼女と「よかったね」と言いながら、ゴミ捨てが終わった。  帰り際、彼女は「次は黒色買わないと」と言う。  私も「そうだね」と言う。  黒い袋があるのは知っていたけれど、なにに使うかは知らない。  帰ったら黒色は何か調べよう。  そう思うけれど、きっとすぐに忘れる。  家に着いたが暇だ。  「今日休みだよね、何しよう」  「とりあえず、家事しないと」  彼女は、長い髪を指先でいじりながら言う。  付き合う前からの癖だから、私は特に何も言わない。 「そうだね、家事しようか」  私たちは、洗濯物を干したり、床掃除や、ついでに窓も掃除をした。  そんな一日だった。  翌週。   「ゴミ捨て行くよー」  彼女の手には黒いゴミ袋。  指先はいつもの癖の行き場を失って、服の裾を弄っている。  しばらくしたら、そのシャツの裾はよれて、透明なゴミ袋行きだろう。
2026/09/27 ・ 👁️ 71回 ・ 💬 0件

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