コメディ・日常

子生意気蛙主人

630文字 約2分で読了
作者:珈琲時間
 雨の日は無性に眠たい。  低気圧だとか、胎児の頃の記憶だとか、そんな事はどうだっていい。  この雨音に包まれ、是非もなく、まどろんでいたい。  瞼の重さが心地よい。  地球の重力に……感謝を。  ━━「なんて怠惰なオスなんだ」 そこにいたのはチロルハットを被り、煙管を咥え、シェル型のシングルソファーに、偉そうに大きく脚を組んで座っている蛙。  蛙。 「雨なんだ。勘弁してくれ」 「我々はこの時期こそに、全命をかけ、種の繁栄に賭すというのに。お前はなんという様だ」 「だから、だよ。蛙主人。君らの活動に、少しの邪魔にもならないよう僕はこうしている」 「やい、オスよ。オスの使命はなんだ」 「言わせるな。そんなこと」 「分かっているのだろう!ならば雨が降ろうと、地が乾き照り上げようと!」  蛙主人は勢いよくソファーから立ち上がった。  頭と胴のバランスに似合わず、脚は長い。 「今すぐ起き上がり、飯を食い、メスを追え!」  ━━なんて目覚めだ。  近年稀なレベルの気怠さが僕を襲う。 「立飲屋 小生意気」  酒でも飲んでもう一度床に着こうと、近所の立ち飲み屋に入る。 「いらっしゃい!」  カウンターの中央で、珍しく女が一人で飲んでいる。  なるほどな。 「大将、ぬる燗一本。それと、おまかせを」  ここでの「おまかせ」はだいたい珍味かジビエの一品が出る。  まさに「小生意気」。  最初に来た時は猪肉ベーコンの天ぷらだった。  それ以来、ここを贔屓にしている。 「はいお待ち!今日はウシガエルの唐揚げだよ!」  なるほどな。 「大将、もう一匹揚げてくれる?」
2026/09/22 ・ 👁️ 88回 ・ 💬 0件

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