ホラー・怪談

死神

740文字 約2分で読了
作者:ころもやぎ
どうも、本日面接に参りましたMと申します。とても酷い大雨で足元も悪い中、こうして面接の機会をいただけてありがたき幸せとしか言いようがありません。  さて、この貴重なお時間の中で少しわたくしめのお話をさせていただきます。わたくしはとある南の地で生まれ、まず家は火事で燃えて家族は皆死んでしまいました。親戚もしばらくして病気でことごとく亡くなり、私は天涯孤独となりました。  その後は何とかして学生生活を終えましたが、私の通った校舎は全てが取り壊しとなり、思い出として語れる場所や風景は今や私にはありません。そして、社会人になってから借りたアパートも住む度に取り壊しとなりまして、今借りておりますアパートも近々取り壊しになるそうです。  そうした状況下で次の引っ越し資金をじっくり貯めたく、御社の面接に伺いました。履歴書に書きました以前の勤め先は、どうにも人の扱いが荒っぽくてなりませんでしたので辞めました。大きな声で怒鳴りましたり、罵詈雑言を浴びせましたり、空気は泥の様に濁っておりました。わたくしが勤める先々は、いつもそうなのでございます。わたくしの目利きが、悪いのでしょうね。  それから、私の渡り歩く会社はほとんどが倒産したり社長や社員が酷い病気で倒れたりと不幸に見舞われがちです。まあ、元が悪いのですから、厄介事が寄ってきても仕方がないのでしょう。  そういえば面接の時間になる前、以前の勤め先から「会社の社員が皆流行り病で倒れた」と電話がありました。どうやら死人が出た様な話も聞きましたが、私は御社の事で頭がいっぱいでそれ所ではありませんでしたから電話はすぐに切りました。  ああ、随分くだらない長話をしてしまいました。では改めまして質疑応答を致しましょう。私達の時間には、限りがあるのですから。
2026/09/17 ・ 👁️ 95回 ・ 💬 0件

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