恋愛
幸福の雨粒
542文字
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八月の夕立を数える君が好きだ。
カフェで雨音を聞きながら、お気に入りのチョコレートパフェを食べる君の頬が好きだ。
サラダをつつく僕の写真をふいに撮って、「また大切なものが増えた」と笑う君が好きだ。
写真の中の僕が変な顔をしていても満足そうにしてくれる君が好きだ。
夕立の終わり、ラムネとみかんジュースが混ざった空を見上げて眩しそうにする君の横顔が綺麗で、僕は一つ瞬きをした。
あと何回、僕は君を好きだと思えるのだろう。僕は何度、君に恋が出来るのだろう。
君が夕立を数えるように、僕は君と過ごせる日々を数えている。
そんな僕の手を取り、何も知らない君は濡れたアスファルトを蹴って楽しそうに走り出す。まばらな足音すら、今は愛おしく思えた。君と一緒に走る世界は、いつも鮮やかで尊い。
もしこの先僕がいなくなっても、君には幸福の雨が降り注いでいてくれと願う。その雨音を数えて、楽しそうに鼻歌でも歌っていて欲しい。
僕は知らぬ間に君の白い頬へ落ちる雨粒の一つになって、君の元へ帰る。きっと何度も、君の頬を伝う雨粒になる。そしていつか君に見つかって、また弾けるような恋をするだろう。
淡い幸福の一粒となる日を夢見て、僕は夏空の下を君と駆けて行く。
雨上がりの世界に混じる君の甘い匂いが、祈りに満ちた僕の胸を詰まらせた。
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